メタ認知とマインドフルネス

長谷川洋介センター長

先日、大坂なおみさんが全豪オープンで優勝しました。彼女の優勝をもたらしたものの一つにメタ認知のトレーニングがあったそうです。
彼女はプレーで失敗するとよく物にあたったりしていましたが、今回の大会ではそういったことは少なくなりました。逆に、感情を上手にコントロールでき、無駄な感情のエネルギーを使わないよう冷静に対処したそうです。

メタ認知とは自分を客観的に眺める力とも言えます。

例えば、自分の部下が仕事で大きな失敗をした時に上司である自分は感情的になって怒りのエネルギーを返さず、その怒りに気づいてその感情を客観的に眺めることです。このような場合、私達人間は自分の冷静な対処方法、より良い行動をとりやすくなるのです。逆に、怒りに任せて感情的に怒ってしまうと余計なエネルギーを使ってしまい心も体も浪費してしまいます。

マインドフルネスでは自分自身を客観的に眺め受け入れる実践を繰り返していくことでこのメタ認知の力を育て上げることができます。

今自分にどのような感情が湧きおこっているのかに早く気づくことで冷静な自分をいち早く取り戻すことが出来るのです。それは、自分の間合い、スペースを作り直すと言い換えてもいいでしょう。
自分の間合いで何かをするほうが私たちは成功しやすいですし、余裕ある行動をとりやすくもなります。
東京マインドフルネスセンターに通う方達はよく怒らなくなった、怒ることが減ってきたという方が多くいらっしゃいます。
マインドフルネスを続けることで怒りの源である脳の中の扁桃体という場所が小さくなるというデータもでています。扁桃体は怒りや、不安など感情がわきおこる時に活性化すると言われています。また、心配や反芻を続けている人はこの部分が過剰に反応するとも考えられています。
マインドフルネスを継続することで、扁桃体を抑制的にすることができます。つまり感情のコントロールが上手になっていくということです。
さらに、マインドフルネス瞑想を続けていくと自分自身の感情や思考に気づきやすくなります。気づくことが出来れば、自分自身を客観的に眺める力をつけていくことができます。
そしてメタ認知力が自分自身の仕事や生活の中で冷静さを保ち落ち着いたパフォーマンスを維持することに役立ちます。