日本マインドフルネス学会第2回大会が開催されました
2015年8月29日(土)、30日(日)の2日間にわたり、早稲田大学国際会議場にて日本マインドフルネス学会第2回大会が開催されました。
【学会1日目】
1日目は研修会で、研修会Ⅰは、学会会員限定の研修会であり、企画・司会・ファシリテーターが学会理事長越川房子先生(早稲田大学教授)で、「事例に学ぶマインドフルネスの適用と工夫」~虐待の影響によりPTSD症状を呈する子どもたちへのマインドフルネスの適用とその工夫~ という内容で、マインドフルネスを臨床で実践している先生方より事例の報告と児童を対象としたマインドフルネス・ヨーガの体験でした。
研修会Ⅱは、学会会員以外も参加可能な研修会で、井上ウィマラ先生(高野山大学教授)の「自分を見つめ、他者を見つめ、関係性の中で覚知を高める」~マインドフルネスにおける内外の視点~ と、坂入洋右先生(筑波大学体育系教授)の「自律訓練法の実際」~マインドフルネスと受動的注意~ でした。その後、菅村玄二先生(関西大学准教授)と伊藤儀徳先生(琉球大学教育学部准教授)を講師として「マインドフルネス実践Q&A」がありました。会場の参加者からのマインドフルネス実践に関する質問や疑問に、マインドフルネス第一人者の先生方が回答という企画で、時間が足りないほど活発な議論がされ、マインドフルネスに対する関心の高さと実践される先生方の熱意の高さが感じられました。研修会終了後には懇親会が行われ、マインドフルネスに携わる先生方と情報交換や交流を深めました。
【学会2日目】
2日目は、9時15分より「マインドフルネス・モーニングセッション」が行われ、山口伊久子先生(マインドフルネス&ヨーガネットワーク)と相馬花恵先生(早稲田大学文学学術院非常勤講師)よりマインドフルネス瞑想とマインドフルネス・ヨーガの実践がありました。朝より多くの参加者が集まり、マインドフルネスの気づきを深めました。
その後、一般研究発表があり、赤坂クリニックからは「マインドフルネスに基づく集団への介入と効果」と「赤坂クリニックにおける食べる瞑想の取り組み」の2演題を発表しました。在籍時間いっぱい参加者より発表者に沢山の質問がありました。
午後からは、大会会長坂入洋右先生より基調講演として「東洋的行法の効果とメカニズム」がありました。その後、「マインドフルネスの効果機序を探る」をテーマとしたシンポジウムが開催されました。座長坂入洋右先生、話題提供者は杉浦義典先生(広島大学大学院総合科学研究科准教授)、大平英樹先生(名古屋大学大学院環境研究科教授)、蓑輪顕量先生(東京大学大学院人文社会系研究科教授)の三名でした。杉浦先生は「心理学の視点から見たマインドフルネス」~多次元的理解に向けて~ ということで、注意の自己制御と自分の体験を見つめる2つからなっているとし、この2つの側面について研究の進展の報告でした。大平先生「身体が意識を創発する」~マインドフルネスの神経生理メカニズム~ とし、マインドフルネスによってもたらされる効果機序を脳の視点から説明をしました。蓑輪先生は「止と観の目指したもの」~その起源と機能~ として、マインドフルネスの起源である仏教からマインドフルネスを理解する場合ということでお話しをされました。
【結語】
日本マインドフルネス学会は、2013年に日本マインドフルネス学会創立記念大会を「マインドフルネス・ストレス低減法」の創始者であるジョン・カバットジン先生を招いて講演を行い、翌年2014年に第1回大会を、そして本年2015年に第2回大会が開催されました。日本初かつ日本で唯一のマインドフルネスの学術的専門学会である日本マインドフルネス学会は、今後も臨床、研究面でますます発展が期待できそうです。